NOTE

Seek sustainable life with the nature

私のスーパーヒーロー、祖父母

今日は祖父母に会ってきたよ!

 

今はもう90歳で、数年前から介護施設にお引越し。今では私が子供時代を過ごしたブランコのある木造の家も、たわわに実る畑がある二軒目の家も、別の人が住んでいる。

 

昔は会いに行ったら、みんなでコタツを囲んでわいわいしながら、食べきれないほどのご飯を用意してくれたものだけど。今はもう我が家ではないから、ばあちゃんの個室でダンボールのテーブルを囲んでの会話に。

 

時の移ろいは、まったく、切なくなるね

 

じいばあは、それでもボケずに、相変わらず楽しそうに仲良くやっている。遠方に住んでるから毎年お盆と年末の2回しか会えなかったけど、でも、私は2人が大好き。

 

お茶目なおじいちゃんは、いつも簡単な子供騙しの手品で喜ばせてくれた。真面目なおばあちゃんは、誠実に生きていればお天道様がちゃんと見ていてくれるからねと、教えてくれた。純粋な私はその言葉を聞いて、真っ正直に育ちました。笑

 

でも、その実、お天道様以上におばあちゃんに対して顔負けできない人にはならないと思っている。おばあちゃんは私の人生のお天道様。

 

おばあちゃんもおじいちゃんも本当にすごいのだ。だって戦乱が始まる前に生まれて、戦争を生き抜いて、そして日本をここまで育ててくれたんだよ。

 

私は今の日本が時々好きじゃなくて、何でこうなってしまったんだと思うんだけど、じいばあ達の世代は戦争でぼろぼろになったあと、必死に生きてきたんだ。何もないし、世界中から厳しい目を向けられながら、投げ出すことなく諦めることもなく生きてきた。

 

今、こうして安心と平和の中で生活している私が、感謝こそすれ文句を言えるような相手じゃないのだ。

 

良かれ良かれと思ってやったり、やっぱり負けた国だから仕方ない状況もあったんだろう。そうして少しずつ少しずつ今の方向へ向かってきて、だからこそ今、舵を取り直すべきなんだけど。昔ほど必死に生きなきゃならない世の中じゃないんだから、考えられるはず。携帯ゲームする時間を減らして、テレビ見る時間を減らして、削れるところはあるはずなのに、この今や常識になった平和の時間の中で、ゆっくりと思考を切り離されている。

 

そしてまた私の祖父母は謙虚なのだ。私が感謝するべきなのに、こんなに良い孫をもてて幸せだ。神さまありがとうありがとう、と手を合わせて頭を下げる。そして祖父母は、大変な時代の中でよく頑張っていたと互いを褒め合う。身近な人にこそはずかしくって、ありがとう、偉いね、なんて真剣に言えない私。

 

でも祖父母を見てると、感謝をしっかり口にして、お天道様神さまにもお礼を伝えないとなと思う。

 

私は今の時代で頭でっかちに生きてるけど、祖父母たちは五感と心で生きてきたんだなと思う。

 

そんな2人に私は打ち明けた。これから自然や大地と向き合う仕事をするよ、と。おじいちゃんたちの作る野菜が美味しかったからだよ、と。

 

そうしたら2人はとても喜んでくれて、色々と教えてくれた。化学肥料も少しは使うけど、堆肥が一番だとか。化学肥料だと最初はぶわーっと元気になるけど、すぐに萎れるんだって。

 

大地は無言だけど、誠心誠意やれば、応えてくれるからねって言葉が、一番心に残ってる。大地は無言だからっていう、表現が素敵。大地も話し相手なのだ。

 

祖父母は農家で苦労したから、てっきり反対されると思ったんだけどな。あの2人は何でも肯定してくれるんだ。

 

そして、おじいちゃんは少し戦争の話も教えてくれた。当時17歳ぐらいだったおじいちゃんは、海外へは行かず、日本で少年兵として働いた時。どもってしまう兵士がいて、みんなで昼ごはんを食べる時に意地悪な上司が、みんなの前で軍のルールを復唱させた。けれどその人はどうしてもどもってしまって言えず、ひっくり返されたご飯をかき集めて食べていたんだって。

 

…さいあくだ。

 

日本の為に命をかけて戦って地獄のような日々を送ってるのに、心安らぐはずの時間まで、地獄だなんて。戦争はすべてを駄目にする。

 

それから当時軍で支給されたナンキン米も不味かったらしい。そんなのを食べながら、戦っていたのか。

 

こんなことは、昭和史には書いてなかった。兵士の数だけ、沢山の証言が出てくるだろう。おじいちゃんから実際に聞いた話が一番私にとってのリアル。だけど結局あまり聞かなかったから、私が自分の子供に、リアルさを伝えることは難しい…。もっと沢山色々聞いておけばよかった。

 

そんな食べるにも困る地獄の時代を、生き抜いてきたスーパーヒーロー。私のルーツ。

 

そんな彼らの最大の願いは、ふたりで一緒にぽっくり逝くこと。これからも寿命の限り一生懸命生きていくけど、もう十分幸せな人生を送ったから、あとは子供に迷惑かけないで笑っていきたいと。死ぬことはもう何もこわくないし、つらくないんだと。

 

なんてことない普通の語り草で、死について語る2人を、私もすんなりと受け入れることができた。想像もできないような大変だけど、満たされた日々を生きてきたんだなと。だから私もふたりが笑って眠るようにいけるよう、神さまにお願いするのだ。会えなくなるのは寂しいけどね。

 

私のスーパーヒーロー、

やっぱりかっこいいわ